『デイホーム土屋たいわ』聴覚障害者(ろうあ者)と一緒に楽しむレクリェーション活動
デイホーム土屋たいわは、介護保険の通所介護を母体にした、共生型の通所施設です。
放課後等デイサービス、生活介護、デイサービスのご利用者様が一日一緒に過ごされます。
現在は小学3年生~90歳のご利用があります。
抱えている疾患もADLも様々です。
活動も活発に動きたい人、あまり動きたくない人、お風呂に入りたい人、お風呂に入りたくない人、静養室でクールダウンが必要な人…。
年齢も違いますが、興味あることも違います。本当にお一人一人が個性にあふれています。
だけど共通していることがあります。
それは、みんなが笑顔で過ごせているということです。
そして、それが実践できていることが、私たちスタッフの誇りです。
一人一人が主役ですから、それぞれが楽しめるような工夫が必要です。
初めての場所、大勢の中で孤独感を感じないように、配慮しています。
そんなデイホーム土屋たいわで、聴覚障害の方の受け入れが始まりました。
地域包括支援センター、またケアマネさんから「手話ができる人はいますか?」というお問い合わせに、
「少しなら・・。」とお返事いたしましたが、改めてスタッフに確認したところ
「昔手話劇をしました!」
「私、少しなら手話できます!」
「私も少しなら手話できます!」
と手が上がり、なんと4名のスタッフが手話が(少しは)できるという新たな発見をしました。
≪体験利用と本利用≫
体験利用では、念のため、手話通訳さんも一緒においでいただきましたが、本利用からは手話通訳なしで、スタッフが手話で対応することができています。
聴覚障害の方は、耳から自然に入ってくる情報がほとんどないので、体験時には、デイサービスがどんなところか、イメージを持ちにくく、大変緊張したそうです。
体験の際は、「折染め」「輪投げ」を楽しまれました。
中でも輪投げが「はじめてやった」そうで、とても楽しかったそうです。
また、体験の前日には、利用者含めてみんなで手話を練習。
自己紹介できるように何度も練習し、朝の会では、みなさん、手話で自己紹介されました。
ただ、時折見せる不安気な表情に「疎外感を感じられているのでは?」と不安に思っていました。
ですが後ほど、ケアマネさんから、「ご本人は家族にとっても楽しかったと話していたそうですよ。」と嬉しい報告をいただき、安堵しました。
本利用が始まってからは、体験の時よりも笑顔で通所されています。
意外にも聴覚障害の方は健聴者に普通にコミュニケーションを取られています。
聴覚障害の方が、「トントン」とお隣の方を軽くたたき、健聴者が「なあに?」と振り向き、手話を交えたジェスチャーで話されます。
すると、「うんうん。」と頷かれ、お互いに笑顔。
ほんとに伝わってるのかな??と懐疑的になり、後でこっそり「話している内容わかった?」とお互いに聞いてみるのですが、「うんわかるよ。」との返事。
感動しました!!そして、「私、手話勉強したかったの。」とも!案ずるより産むが易しとはこのことですねぇ。デイホーム土屋たいわがその方の居場所になった、というのは、本当にうれしいことです。
それでは、デイホーム土屋たいわの『聴覚障害者(ろうあ者)と一緒に楽しむレクリェーション』をご紹介します。
≪体を動かす活動≫
- ラジオ体操
- 輪投げ
- まとあて
- 玉入れ
- 人間すごろく
- パターゴルフ
体を動かす活動は、問題なく楽しめていただいています。
チーム分けには、割りばしの先に、赤、青と印をつけておいたものを引いてもらい、チーム分けをします。
点数はホワイトボードに記入することで、勝ち負けがわかるように工夫しています。勝ったチームは、元気に万歳三唱、負けたチームは拍手で相手チームを称えます。勝負事は真剣です。真剣ですから盛り上がるのです!
≪制作活動≫
制作活動は、白内障を患っているため、細かい部分が見えず、「私見えないから・・。」とあきらめがちですが、スタッフと一緒に制作すれば大丈夫。ちなみに先日は、秋らしく、どんぐりのキーホルダーを作りました。
『どんぐりのキーホルダー』の作り方
- 拾ったどんぐりを茹でて乾かします。
- どんぐりの先端に穴をあけます。
- 穴には、金具を入れ、レジンで固めます。
- また、どんぐりにビーズをレジンでくっつけて完成です。
秋らしく可愛いキーホルダーができました。
≪ボードゲーム・カードゲーム≫
説明が簡単なもの、また、目が見えにくいので、感覚でゲームに参加できるものを用意しています。
『坊主めくり』
百人一首を使ったゲームです。
絵札だけを使っていきます。山札から1ずつ順番に札を引いていき、一番最後に最も多く札を持っていた人が勝ちです。
引いたカードが
「殿」だった場合⇒持ち札になる
「坊主(僧侶。髪の毛がない。)」だった場合⇒自分の獲得した札を共通の捨て札置き場に全部捨てる
「姫」だった場合⇒捨て札を全部獲得する(捨て札がない場合は山から1枚引ける)
つまり、坊主は今まで取った札を全部捨てて、姫がそれを全部拾うということです。
絵札の山がなくなるまでそれを繰り返して、最終的な持ち札が最も多い人が勝ちになります。
「蝉丸」は、それぞれの地域で扱いが違うようで、蝉丸を引いたら一回休み、自分以外の持ち札を全部捨てさせる、蝉丸を引いたら負け、などがあるようですが、たいわでは、蝉丸は「殿」扱いでです。
めくるだけなので単純ですが、すごく盛り上がります。
『ぶたのしっぽ』
トランプをシャッフルして、トランプを丸く広げます。
時計回りに一人一枚ずつ好きなトランプを引いて、中央に置きます。
その時、赤がでたら、次の人は黒を引かなければいけません。
黒が出たら、次の人は赤です。
続けて同じ色がでたら、中央のトランプを持ち札にします。
繰り返して、持ち札が少ない人が勝ちです。
単純ですが、視覚でゆっくり遊べるゲームです。
『バランススティックゲーム』
鉛筆のような棒、赤、青、黄色のスティックを立てておき、それを倒した人は負け、というゲームです。
青、黄色のシールを貼ってあるサイコロを振り、出た色と同じスティックを抜きます。
スティックがバランスを崩し、倒した人が負けです。
『タワーボールスティックゲーム』
タワーに緑、オレンジ、青のスティックを挿し、挿した上にいくつかのボールをのせます。
サイコロと同じ色のスティックを引いて、ボールがいっぱい落ちてきた方が勝ち、というゲームです。
ジャラジャラと落ちるボールが快感です!
『パクモグ』
カードに食べ物の絵が描いてあり、その絵を食べるジェスチャーをします。そのジェスチャーから、何を食べているのか当てるゲームです。
このジェスチャーがみなさん何ともかわいらしく、盛り上がるゲームです。
≪手話ソング≫
手話ソングは、YouTubeで、手話ソングを検索すると、たくさんヒットしますので、それを見ながら、手話を練習します。
「歌だと手話、覚えやすいね」とみんなで歌いながら練習しています。
曜日によっては、タンバリンでリズムを奏でる人、ピアノを弾く人もいらっしゃり、素敵な音楽の時間が流れていきます。
- 森のくまさん
- ふるさと
は簡単に覚えることができました。
≪ダンス≫
『お湯ダンス』
パパイヤ鈴木さんが考案された、NHK東北温泉地応援プロジェクトのテーマソング
「とうほくであったまろう」の振付ダンスです!
先日までは、同じく、NHKの『やっぺぇ体操』を練習していましたが、今は『お湯ダンス』を練習中。
上手にできるようになったら、また動画撮影したいと思います。
≪まとめ≫
こうして文章にまとめてみると、聴覚障害者であっても、他の利用者様と同じように楽しめるレクリェーションはいっぱいあることに改めて気づきました。
同じ活動でも、ホワイトボードや動画を活用することで、わかりやすく伝えることができます。
「『輪投げ』『ゲーム』『ダンス』も初めてやりました!」と、嬉しそうに手話で伝えてくれました。
ゲームに勝って喜んでいる時の表情も、負けて悔しがる表情も、本当にキラキラしています。
これからも、「これはできないだろう」とあきらめることなく、誰もが楽しめる活動を模索していきたいと思います。
これからも、デイホーム土屋たいわをよろしくお願いいたします。
記事監修
デイホーム土屋たいわ(宮城県黒川郡大和町)
管理者 織田由加
介護支援専門員/介護福祉士/保育士/社会福祉主事