『デイホーム土屋たいわ BLOG』種まきから始まった 「ずんだ白玉」物語

『デイホーム土屋たいわ BLOG』種まきから始まった 「ずんだ白玉」物語

『ずんだ』とは、枝豆をすりつぶして作る緑色のペーストのこと。 モチと合わせた『ずんだ餅』は宮城県人の魂を震わすソウルフードであり、『ずんだスイーツ』としてさまざまなメニューが生まれています。うぐいす餡とも似ていますが、うぐいす餡はグリンピースを使う点で異なります。

素材となる枝豆作りは、3ヶ月前の5月に種を購入するところから始まりました。しかし、野菜作りは誰もしたことのない素人集団のため、とてもぎこちなく、試行錯誤の連続でした。

育苗ポットに種を植え、苗を育て、畑に植え替えし、大きく育て、たわわに枝豆が実り収穫しました。そして、『ずんだ白玉』の美味しいお団子となってペロリと我々のお腹のなかへ。

今回はデイホームのおやつ作りで取り組んだ『ずんだ白玉』のお話です。

カチカチの土

施設の裏に縦10メートル、横10メートルの約30坪のりっぱな畑があります。昨年は畑の一部分でじゃがいもと枝豆などを作ったという。せっかくあるんだから全面的にできないか、ということになった。

しかし、周りは水田だらけで、この畑も以前は水田だった。なので土は乾くとカチカチ、雨が降ると水もちが妙に良いためドロドロになってしまう。

酸性土壌らしいので、『牛糞ともみ殻の堆肥』と石灰を大量に投入する。こうすると中性土壌になるらしい。利用者さんと耕運機で何往復も土を耕した。う〜ん、手ごわい‥‥。

ところで、何をどうやって植える?

いざ畑をやろうと思っても、たくさんの作物があり迷ってしまう。利用者さんと一緒に買い物に行き、種類豊富なホームセンターの種コーナーの前でぼう然と立ち尽くした。

これじゃまずいということでミーティングを実施した。そこでこんなことが話し合われた。

  • 無農薬で育てよう
  • おやつや昼食で使うことのできる作物を作ろう。
  • 安くあげるため、ほとんどを種から育てよう

ということで、かぼちゃ・さつまいも・じゃがいも・枝豆・スイカ・オクラ・ネギ・きゅうり・落花生などを育てることになった。特に枝豆は昨年も豊作だったという実績があり期待できた。

育っていく、いのちの不思議

まずは種まきからということで、利用者さんと買い物ツアーに。種類がありすぎて迷ったが最後の選択は利用者さんに任せた。直感で気に入ったもの、虫に強そうなもの、そんな基準で選んでいただく。

いざ種まき。テーブルの上に育苗ポットをのせ、指で穴を開け種をまいていく。果たして、これが本当に発芽するのか、極めて現実味のない、想像力が必要な地道な作業だった。種を植えた育苗ポットは、デイの玄関に置いて共通の話題とした。施設に出入りするたび、とても関心を引くものとなった。

7日〜10日を過ぎたころ、ひょっこり枝豆が芽を出した。アニメ映画『となりのトトロ』のワンシーンのような発芽風景にみんなで驚いた。

感動と驚きを共有できた。デイを訪れる人からは『もう芽が出たのぉ〜』『よかったねぇ』『すごいじゃない!』という言葉にあふれた。まず発芽したこと、大きくなっていること、畑にいつ植え替えするのかなど話題は絶えなかった。

虫さん襲来

ほうれん草やブロッコリーなどの葉物野菜にもチャレンジした。種を植え発芽したが、残念ながら全滅。

10cmぐらいになり、いざ畑に植え替えようと意気込んでた矢先、虫さんがパクパクパクパク。お酢で防虫剤を作りスプレーするも、時すでに遅しだった。ち〜ん。

実感を得やすい植え替え作業

苗の植え替え作業は、育苗ポットから苗を出して、畑に開けた穴にスポッと入れるだけなので、いろいろな利用者さんが参加できた。

特別支援学校から実習で来た方には、野菜は全て食べないが枝豆だけは食べる方がいて、植え替えは難しいようにみえる状態の方だったが、見事に苗をホールインしてくれた。

雑草の嵐

とにかく雑草がすごい。とくにスギナ。高齢の利用者さんから『スギナは地獄の底から生えてくる』と教えていただいた。雑草にうんざりするなか『マルチは雑草対策にもいいらしい』と知った。

マルチ栽培は黒色や白色の遮光ビニールで畝を覆い、穴をあけたところに作物を植える栽培法。保水にもなるらしく積極的に取り入れた。枝豆もマルチ栽培したため雑草から実を守ることができた。

成長を共に見守る

天候や足場の状態で利用者さんが毎日畑に出ることは難しいため、『ほんづづ(本日)の畑コーナー』を朝の会でしばしば行った。スマホで作物の今朝の成長具合を撮影し、動画や画像を大きなモニターで映した。

いろいろな発見があった。きゅうりが花を押し出すように育って行くこと。枝豆はまずぺしゃんこのサヤが育ち、次にだんだんサヤの中で豆が膨らんでいくことなどなど。

またある朝には、『とみぎ(とうもろこし)』が何者かによって食べられた衝撃画像も共有した。タヌキかハクビシンか犯人が特定できないまま、次にスイカまで食べられてしまった。大ショック。

いざ!いただきます

8月になると枝豆の実もぷくっとふくらみ、そろそろ収穫の時が来た。8月3日午前中、畑で枝豆を収穫。午後にいよいよ「ずんだ白玉」を作る。盛り上がってきた。

収穫の時、春に耕運機で耕した利用者さんは2週間ほど前から『これ採りたい、まだ?』と何度も話していた。

ついにその時が来たのだ。楽しそうに生え際からパチンパチンと枝豆の茎をハサミで切っていく。カゴがいっぱいになった。

いのちをいただく

この言葉を自分でもしばしば使ったり目にするけど、実感する機会は意外と少ないと思う。

畑の担当である筆者の私は今回の『ずんだ白玉』お団子を食べたときに、これまでの過程が星座のようにつながって、枝豆といっしょになったような感じがした。

さまざまなバックグラウンドをもつ利用者さんと共に、時間と場所を共有し作業した体験は、優しい味付けとなって心に響いた。

『いただきま~す!』

~『ずんだ白玉』レシピ~

  • 枝豆を茹で、さやから出して、砂糖と水(ほんの少々)を加えてミキサーにかけます。
  • 白玉粉100グラムに対し、水を90㏄足しながら、混ぜ、耳たぶくらいの硬さになったら、一口サイズに丸め、真ん中をくぼませます。
  • お湯を沸かして、まるめた白玉を茹でて、沈んでいた白玉が浮き上がってきたら冷水にとって冷まします。
  • お皿に白玉を並べ、「ずんだあん」をのせたら完成です。

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記事監修
デイホーム土屋たいわ(宮城県黒川郡大和町)
生活相談員 増子大介
サービス管理責任者/介護福祉士

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