【 デイホーム土屋】届いた声、その先に。― クライアント・ご家族の声から見えるケア ―|第2回

目次

「また行きたい」が生まれる場所。

― 急な「困った」にも、いつもの暮らしにも。デイホーム土屋真駒内 ―

デイホーム土屋の現場には、日々、クライアント(=利用者)やご家族、そして地域でともに支援に携わる方々から、さまざまな声が届いています。

その声の背景には、一人ひとりの暮らしや思いに向き合いながら、現場で積み重ねてきたケアがあります。

この企画では、クライアントやご家族、関係機関から届いた声をもとに、デイホーム土屋の現場で育まれたケアを、管理者へのインタビューを通してご紹介します。

第2回は、デイホーム土屋真駒内の管理者・武藤智恵実さん。

デイホーム土屋真駒内は、日中のデイサービスに加え、介護保険外のお泊まりサービスも提供する地域密着型の事業所です。
少人数ならではの距離の近さと、家庭的な雰囲気を大切にしています。

今回、武藤さんが聞かせてくれたのは、3つのエピソードでした。

突然、ご家族が入院することになり、その日の夕方に届いた「今日、泊まれませんか」という相談。
外出を好まなかった方が、4泊を終えて口にした「すごく楽しかった。また行きたい」という言葉。
そして、体調に配慮しながら外へ出て、いつもとは違う笑顔を見せてくれたクライアント。

「受け入れる」だけではなく、その先にある時間をどう過ごしていただくか。

「また行きたい」と思える場所には、どんなケアがあるのでしょうか。

3つのエピソードから、デイホーム土屋真駒内のケアをたどります。

聞き手:高齢福祉事業部 副部長 小川力信
話し手:デイホーム土屋真駒内 管理者 武藤智恵実

第1章 夕方の電話。「今日、泊まれませんか」

~突然の「困った」に応えた、その日の決断~

小川
まず1つ目の事例から聞かせてください。

武藤
ご本人は、ご家族と一緒に暮らしていらっしゃる方でした。

ある日の夕方、ご家族が急に体調を崩して救急搬送されることになり、ご本人が自宅で一人になってしまうということで、ケアマネジャーから、
「今日、お泊まりを受けてもらえませんか」
と相談があったんです。

普段、うちのデイサービスを利用されている方ではありませんでした。

小川
普段利用されていない方について、その日のうちに相談があったんですね。

武藤
はい。
基本的に、お泊まりはデイサービスをご利用いただいている方を対象としたサービスです。
ただ今回は緊急のご相談でしたので、ご本人の状態や普段利用されているサービスの状況など、受け入れを判断するために必要な情報を確認しました。

ご本人も、ご家族が救急搬送されることや、自分が一人では自宅で過ごせない状況を理解されていました。
普段から介護サービスを利用されていて、ケアマネジャーなどから必要な情報を確認できる状況でもありました。

また、ご家族が「何かあった時」のために、お泊まりに必要なものをあらかじめ準備されていたんです。
そうした状況を一つひとつ確認したうえで、今回は受け入れられると判断しました。

小川
相談が来たのは何時頃だったんですか。

武藤
16時30分頃です。
その日は送迎に出ている職員もいたので、戻ってきた職員に夕食の準備をお願いして、私がご本人を迎えに行くことにしました。

18時にはご自宅へ迎えに行っていました。

小川
相談を受けてから、かなり短い時間で判断して動いたんですね。

武藤
そうですね。
突然のご相談でしたが、状況を確認して、今回は受け入れられると判断しました。

数日間お泊まりいただき、ご家族が退院されるタイミングでご自宅へ戻られました。
帰られる時には、ご本人から「ありがとう」と言っていただきました。

ケアマネジャーからも感謝の言葉をいただき、ご家族からは、
「もし何かあっても、受け入れてもらえる場所があると思うと安心しました。」
という言葉をいただきました。

急な相談に応えた今回のケースは、「いつでも、誰でも受け入れられる」ということではありません。

今回は、個別の状況を丁寧に見極めたうえでの受け入れでした。

突然の「困った」に対して、まず「できない」と考えるのではなく、
「この方の場合は、どうだろう。」
と、できる方法を探していく。

そして、受け入れられると判断できた時には、できることを形にする。

その日の決断は、ご本人を支えただけではありませんでした。

「何かあった時、頼れる場所がある。」
その安心を、ご家族にも届けることになりました。

第2章 「すごく楽しかった」

~「また行きたい」に変わった、4日間~

小川
2つ目の事例も、急なお泊まりだったんですよね。

武藤
はい。
実はこの頃、もう1件、緊急のお泊まりについて相談がありました。

この方も、それまで真駒内を利用されていた方ではありませんでした。
ご家族の急な入院で、ご本人が自宅で過ごすことが難しくなったことから、ケアマネジャーより相談があったんです。

通常とは異なるケースでしたので、ご本人の状況を確認し、社内でも相談したうえで、今回は受け入れることになりました。

小川
ご本人は、こうしたサービスを利用することには積極的だったんですか。

武藤
もともと介護サービスの利用に積極的ではなかった方で、ご家族も「デイサービスに通えるだろうか」と心配されていたそうです。
今回は4泊され、その間の日中は、ほかのクライアントと一緒に過ごしたり、レクリエーションに参加したりしていました。

小川
外出レクリエーションにも参加されたんですよね。

武藤
はい。
真駒内では、その日の体調や体力を見ながら、外出レクリエーションを行うことがあります。
この方も参加されて、車で少し出かけて自然を見たりしました。

普段は外出する機会が少なかったそうで、景色を見ながら、
「こんなところがあるんだね。」
と話されていました。

小川
そして、4泊を終えた時はどうでしたか。

武藤
「すごく楽しかった。また行きたい。明日はどうしたらいいの?」
という感じだったんです。

ご家族も驚かれていました。

帰った日はご家族が自宅で待ってくださっていて、
「本人の楽しそうな様子を見て、すごく安心しました。」
と言ってくださいました。

その後は、日中のデイサービスも利用していただくことになりました。

小川
最初は「デイサービスに通えるだろうか」とご家族も心配されていた方が、4泊した後には「また行きたい」とおっしゃった。

真駒内って、いわゆる施設というより、住宅街の中にある大きな家のような場所ですよね。
リビングやキッチンがあって、どこか「友達の家に来た」ような感覚で過ごせる。

そういう家庭的な雰囲気も、真駒内の良さなのかもしれませんね。

武藤
そうですね。
それに、居心地よく過ごしていただくためには、環境だけではなく、そこで過ごす時間も大切だと思っています。
ほかのクライアントと一緒に過ごしたり、レクリエーションに参加したり、その日の体調に合わせて外へ出たり。

その方に「楽しかった」と思っていただける時間をつくっていくことは、大切にしたいですね。

初めて過ごす場所だった真駒内。

4日間の終わりに聞かれたのは、
「また行きたい」という、ご本人自身の言葉でした。

その言葉が、真駒内で過ごした4日間を何より物語っていました。

第3章 写真の中にあった、いつもと違う笑顔

~重い病気を抱えていても、楽しめる時間を~

小川
真駒内では、重い病気を抱えながら、ご自宅での生活を続けているクライアントも利用されているそうですね。

武藤
はい。
ご家族から「家族が不在の間も、楽しく過ごしてほしい」という希望をいただいている方がいらっしゃいます。

もちろん、その日の体調や状態を見ながらですが、真駒内に来ている間は、その方にとって心地よく、楽しめるひとときになるように考えています。
実際に、ご本人もデイサービスで過ごすことを楽しんでくださっているんです。

ご家族からも、その様子をとても喜んでいただいています。

ご家族は医療に携わっている方なのですが、「病気を抱えながらも、こうして元気に過ごせているのは、デイサービスで楽しく過ごせていることも良い影響になっているのではないか」とお話しくださっています。

担当のケアマネジャーからも、「ここで笑ったり、いろいろな刺激を受けたりしていることが、ご本人にとって良い時間になっているのだと思う」と言っていただきました。

小川
ご家族だけではなく、日頃からご本人を支えているケアマネジャーからも、そうした言葉をいただいているんですね。

病気そのものについて私たちが何か言えるわけではありませんが、ご本人が楽しみにできる場所があること、そしてその姿をご家族にも喜んでいただけていることには、大きな意味がありますね。

もう一人、同じように重い病気を抱えながら真駒内を利用されている方のお話も聞かせていただけますか。

武藤
はい。
その方は週1回利用されていて、真駒内に来る日を楽しみにしてくださっています。
ご自宅で過ごされることが多く、外へ出る機会もあまりない方です。

だからこそ、体調を見ながら、できることがあれば一緒に楽しみたいと思っています。
ある日はご様子を確認して、車で湖まで出かけることにしたんです。

小川
その時の様子はいかがでしたか。

武藤
本当にいい笑顔だったんです。
その時に写真を撮ったのですが、事業所の中ではなかなか見られなかったような表情で。

ご本人も「すごくよかった」と喜んでくださいました。
その写真をご家族にお見せしたら、涙を流して喜んでくださったんです。

小川
それだけ、ご家族にとっても心に残る表情だったんでしょうね。
普段なかなか外へ出る機会がない中で、そんなふうに楽しんでいる姿を見ることができた。
写真だからこそ、その時の様子をご家族にも届けられたんですね。

武藤
そうですね。
健康面に不安があると、ご家族も「デイサービスで過ごせるだろうか」と心配されることがあります。
だからこそ、その方の状態を見ながら、ここで何ができるのかを考えていきたいと思っています。

安全に過ごしていただくことはもちろんですが、それだけではなく、「今日は楽しかった」と思って帰っていただけるような関わりを大切にしたいですね。

重い病気を抱えていても、その方の暮らしは続いています。

安全に過ごせるよう配慮することは、もちろん大切です。
けれど、それだけではありません。

「今日は何をしよう」
「どこへ行こう」
「何を見たら喜んでくださるだろう」

そんなふうに、一人ひとりの毎日の中に楽しみをつくっていくことも、デイサービスだからできる支援の一つです。

そして、湖を訪れた日に見せてくれた、いつもとは違う笑顔。

病気だけを見るのではなく、その人の「今日」を見る。

写真の中の笑顔は、真駒内が大切にしているケアを映していました。

第4章 「受け入れる」の、その先へ

~「また行きたい」と思える場所であるために~

小川
今日、3つの事例を聞かせていただきました。
どのお話にも共通していたのは、目の前の方を見ながら、「この方に、今できることは何だろう」と考えていく姿勢だったように思います。

武藤
そうですね。
これからも、その方の状態を見ながら、できる限り柔軟に対応していきたいと思っています。
でも、受け入れることだけが大切なのではないと思うんです。

「ここで過ごせてよかった」「また来たい」と思っていただくためには、デイサービスで過ごす時間そのものを充実させていかなければいけません。

そうした一つひとつの積み重ねが、ご本人やご家族の安心や信頼につながっていくと思っています。
これからも、事業所のみんなで取り組んでいきたいですね。

小川
「受け入れられるか」だけではなく、その先の時間まで考えるということですね。
今日のお話を聞いて、そこに真駒内らしさがあるように感じました。

3つのエピソードを通して見えてきたのは、一人ひとりを見ながら、
「この方に、今できることは何だろう」
と考える真駒内の姿でした。

急な「困った」に向き合う時も、日々の時間をともに過ごす時も、目の前の一人ひとりに合わせて、その時できることを探していく。

そうして生まれる安心や笑顔が、少しずつ、
「また行きたい」
という気持ちにつながっていくのかもしれません。

今日も真駒内では、一人ひとりと向き合いながら、「ここで何ができるだろう」と考えるケアが続いています。

武藤さんが管理者を務める「デイホーム土屋 真駒内」については、以下よりご覧いただけます。

デイホーム土屋の取り組みについては、こちらをご覧ください。

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