デイサービスは、自宅で生活している要介護1以上のクライアントの気分転換や心身の健康維持を目的として提供されている介護保険サービスです。
平日の日中に事業所で7時間程度にわたって提供されるという特性上、クライアントの家族にとっても在宅介護生活中の貴重な息抜きの時間にもなっています。
デイサービス介護保険制度が適用されますので、1割〜3割の自己負担金で利用することが可能ですが、万が一料金が高額になってしまった場合は、補助などが受けられるのでしょうか。
今回の記事ではデイサービスの料金について、またデイサービスの利用に伴う補助についてご紹介していきます。
デイサービスの料金
デイサービスの料金を算出する際の計算式は、以下の通りです。
((基本単位+加算-減算)×地域単価)×自己負担割合=クライアントの負担する料金
一つひとつの項目を確認していきましょう。
デイサービスの基本単位
デイサービスを利用する際は、介護度と利用時間によって基本となる単位数が定められています。
通常規模型のデイサービスの場合、基本単位は以下の通りです。
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
---|---|---|---|---|---|
4時間未満 | 368単位 | 421単位 | 477単位 | 530単位 | 585単位 |
4時間以上5時間未満 | 386単位 | 442単位 | 500単位 | 557単位 | 614単位 |
5時間以上6時間未満 | 567単位 | 670単位 | 773単位 | 876単位 | 979単位 |
6時間以上7時間未満 | 581単位 | 686単位 | 792単位 | 897単位 | 1,003単位 |
7時間以上8時間未満 | 655単位 | 773単位 | 896単位 | 1,018単位 | 1,142単位 |
8時間以上9時間未満 | 666単位 | 787単位 | 911単位 | 1,036単位 | 1,162単位 |
小規模型のデイサービスや大規模デイサービスでは基本単位数が異なりますので、利用予定の事業所がどの種類のデイサービスに該当するのか、事前に確認しておきましょう。
デイサービスに関係する加算・減算
デイサービスの料金を算出する際に少しややこしいのが、加算と減算です。
一つずつ細かく確認していきましょう。
サービス加算
デイサービスの利用中に、入浴の介助や口腔機能訓練、栄養改善相談などのサービスが提供された場合は、サービス加算が計上されます。
具体的には、基本単位に以下のサービス加算が合計されます。
- 入浴介助加算……1回あたり40~55単位
- 個別機能訓練加算(Ⅰ)……1日あたり56~85単位
- 栄養改善加算……1回あたり200単位
- 口腔機能向上加算(Ⅰ)……1回あたり150単位
提供体制加算
デイサービスを提供している事業所が一定の基準を満たし、質の高い介護サービスを提供していると認められた際には、サービス提供体制加算が追加されます。
- サービス提供体制強化加算(Ⅰ)……1回あたり22単位
- サービス提供体制強化加算(Ⅱ)……1回あたり18単位
- サービス提供体制強化加算(Ⅲ)……1回あたり6単位
減算
デイサービスの料金に関係のある減算は以下の通りです。
- 送迎減算……片道47単位・往復94単位の減算
- 同一建物等減算……1日あたり94単位の減算
- 定員超過利用による減算……規定する算定方法に従って30%減算
- 人員基準欠如時の減算……規定する算定方法に従って30%減算
地域区分
介護保険制度では人件費や土地代などを考慮する目的で、日本全国7種類の地域区分とその他の区分に分類しています。
基本単位と各種加減算で出現した単位に、以下の金額を掛け合わせることで、介護報酬が決定します。
- 1級地……10.90円
- 2級地……10.72円
- 3級地……10.68円
- 4級地……10.54円
- 5級地……10.45円
- 6級地……10.27円
- 7級地……10.14円
- その他……10.00円
自己負担割合
介護保険制度では介護報酬のうち1割〜3割を自己負担とし、残りの金額に関しては自治体が事業所に支払います。
自己負担の割合はクライアントの所得状況によって異なりますが、一般的には1割負担となっています。
介護保険制度で支給される上限額ってどのくらい?
介護保険制度を無限に利用することはできず、それぞれの介護度によって支給限度額が定められています。
この区分支給限度額はデイサービスの利用のみに限らず、全ての介護保険サービスの利用分を合算した単位に適用されます。
区分支給限度額は以下の通りです。
- 要介護1……16,765単位
- 要介護2……19,705単位
- 要介護3……27,048単位
- 要介護4……30,938単位
- 要介護5……36,217単位
この金額以上に介護保険サービスを利用した場合は、全てクライアントの自己負担となります。
ケアプランを作成する際は、基本的にこの支給限度額以内で計画を作成することになっていますが、家族のやむを得ない事情や本人の状況によっては、支給限度額以上に介護保険サービスを利用せざるをえないケースもあります。
クライアントが支給限度額を超えて介護保険サービスの料金を負担せざるを得なくなった場合、補助は出るのでしょうか。
高額介護サービス費制度
デイサービスを含めて介護保険サービスを積極的に活用し、1ヶ月の自己負担額の合計が高額になった際は、高額介護サービス費制度の対象となります。
クライアント個人の所得や生計を一にする世帯の所得によって定められた月々の負担額上限を超えると、超過分の金額に対して介護保険から補助という形で金額が支給されます。
利用者負担軽減制度
主に低所得といった理由から家計に不安がある場合は、利用者負担軽減制度の対象となり、補助が受けられます。
具体的には介護保険制度の超過分自己負担が1/4となりますが、事前に自治体に申請する必要がありますので、注意しておきましょう。
デイサービス料金の仕組みを理解して、補助は積極的に活用しよう
デイサービスの料金について解説しながら、クライアントが受け取れる可能性のある補助についてご紹介いたしました。
介護保険制度の料金は単位や加減算という言葉が出てきて少し難しい計算式となっていますが、計画的にサービスを利用しなかった場合は介護保険制度で認められた利用上限を大きく超過してしまう可能性も否めません。
利用上限を超えた場合の補助に関しては、自治体の認可を受けた上で申請する必要があります。
また事前にケアマネージャーとしっかり相談し、料金について正しく理解しておきましょう。