介護施設とは、入居型で介護や生活援助などのサービスが提供される高齢者施設を意味する言葉です。
そのなかでも「介護保険施設」に該当する施設は、介護保険制度を利用して比較的安価な価格で利用することが可能となっています。
介護保険施設という分類に該当する介護施設は、2023年度いっぱいで廃止が決まっているものを除くと、3種類が運営されています。
この記事では介護施設のなかでも介護保険が適用となる介護保険施設を利用するための条件や、介護施設ごとに異なる特徴について分かりやすく解説していきます。
介護保険施設への入居を検討しているクライアントやその家族はもちろんのこと、介護業界で勤務中のアテンダントや転職を希望している方にとっても分かりやすい内容となっていますので、どうぞ最後までご確認ください。
介護保険施設の種類
介護施設のうち、介護保険制度の適用となる公的な介護施設は、以下の3種類になります。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
2023年度までは上記に加えて介護療養型医療施設が運営されていますが、2023年度いっぱいでの廃止が決定しており、その転換先として介護医療院という介護施設が2018年から創設されています。
介護保険施設を利用するためには
介護保険施設は冒頭でご紹介した通り、介護保険に基づいて運営されている公的な介護施設に該当します。
そのため介護保険を利用しているクライアント、つまりは自治体の介護度認定によって介護が必要とされている方に限って利用が認められています。
介護保険施設入居に必要な条件
介護度認定は、非該当・要支援1~2・要介護1~5の計8段階で認定が行われます。
このうち非該当(介護の必要がなく、自立した生活を送ることができている)クライアントと、要支援(現段階では介護の必要性は認められないが、将来的に介護が必要なる傾向が確認される)クライアントは、介護保険施設に入居することができません。
また3種類の介護保険施設のうち特別養護老人ホームに限っては、原則として要介護度3以上でなければ入居不可となります。
また年齢的な制限として、いずれの介護保険施設も65歳以上でなければ入居することができません。
40〜64歳のクライアントの場合は、がんやALS、初老期における認知症などに代表される16種類の特定疾病に該当した場合のみ入居が可能です。
介護保険施設の費用
介護保険施設は民営の介護施設と大きく異なる点として、その費用の安さが挙げられます。
一般的に民間の介護施設で必要となる入居金も不要で、月額の利用料も10万円〜15万円前後となっています。
民営の介護付き有料老人ホームでは入居一時金が数十万円~数百万円、月額の利用料が20万円前後必要になることを考えると、介護保険施設は家計にも優しく、利用を希望されるクライアントは後を絶ちません。
そのため常に入居待機が発生しており、希望してもなかなか入居が難しいという現状があります。
介護保険施設の詳細
現在新規のクライアントが入居可能となっている介護保険施設は、種類ごとにどのような違いがあるのでしょうか。
それぞれの介護保険施設の詳細を確認していきましょう。
介護保険施設①特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホームは、一度入居した後は旅立ちの時まで終身にわたって入居が認められている介護保険施設です。
自治体や社会福祉法人によって運営されており、介護老人福祉施設とも呼ばれています。
充実した介護サービスを利用できることから入居を希望するクライアントが特に多く、常に入居待機者が多い介護保険施設となっています。
入居者3人に対して1人以上のアテンダントが配置され、入居者100人あたりに対して医師を1人以上、看護師を3人以上配置することが義務付けられてはいますが、基本的には医療施設ではなく、あくまで介護保険施設に該当します。
従って点滴や胃ろう、経管栄養や気管切開といった医療的なケアを恒常的に必要としているクライアントは、施設の状況如何で入居ができないケースも存在します。
入居にあたっての不安は、あらかじめ施設側によく相談しておきましょう。
介護保険施設②介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設は、持病やケガなどで一時的に病院に入院していたクライアントが、退院後に自宅に戻るまでに在宅生活での不安を解消し、リハビリなどに励む環境として提供されている介護保険施設です。
特別養護老人ホームとは異なり、あくまでリハビリの期間(一般的には3カ月~半年程度)において滞在する介護保険施設ですので、リハビリが完了したと判断された際には退去する必要があります。
入居者3人に対して1人以上のアテンダントが配置される点は特別養護老人ホームと同じですが、アテンダントのうち看護職員の割合は、介護職員に対して7分の2との規定がありますので、医療的なサポートは特別養護老人ホームよりも充実しています。
介護保険施設③介護医療院
介護医療院は、2023年度いっぱいで廃止される介護療養型医療施設の転換先として、2018年に運用が始まった比較的新しい介護保険施設です。
要介護と認定されているクライアントのなかでも、心身の状態や認知症・持病の容態によってⅠ型とⅡ型が存在します。
要介護状態のクライアントに対して医療・介護・住まいが包括的に提供される場所となっており、人員配置体制に関しても手厚く規定され、薬剤師も配置されることになっていますので、喀痰吸引や経管栄養に代表される医療的なサポートを必要とされる方でも安心して過ごすことができます。
介護施設の選び方
介護保険施設だけでも3種類、そのほかに民営の介護施設も存在していますので、いざ入居を検討しようと思うと「どこの介護施設がいいのだろう」と迷ってしまいますよね。
介護施設を数種類のなかから選ぶ際は「予算・クライアントの状態・クライアントの希望」を中心に、まずはいくつかの施設を選択肢としてピックアップしてみるとよいでしょう。
施設によっては見学や入居相談会を実施していることもあるので、タイミングが合えばぜひ足を運んで見てくださいね。
またいずれの種類の介護施設も、超高齢化社会を迎えた日本ではとても需要が高く、入居を希望してもすぐには入居できないことも珍しくありません。
将来的には介護施設への入居を希望するかもと思ったら、なるべく早く行動を起こすと良いでしょう。
介護施設に入居を希望する際の相談は、担当のケアマネージャーに行うことをおすすめいたします。
ケアマネージャーは介護保険制度全般に関することはもちろんのこと、地域の介護状況や介護施設の種類などにも精通した存在です。
会議施設の入居待機中に認知症の症状や持病の経過が悪化した場合、家族のライフスタイルが変わってしまった場合、またクライアントの介護度に変化を感じた場合などの相談にも乗ってもらうことが可能です。
現在利用している介護サービスのアテンダントやかかりつけ医とも連携して、クライアントや家族にとって穏やかな日常を過ごすサポートとなってくれる介護施設を探していきましょう。