デイサービスで勤務している中で重要になってくるのが、それぞれのクライアントの要介護度です。
デイサービスに代表される介護保険サービスを利用するためには、クライアントが自治体による要介護認定で非該当以外に認定されている必要があります。
特にデイサービスは要介護1から要介護5のクライアントを対象にした通所型の介護サービスですが、クライアントにとって必要な介護サービスの量や内容はそれぞれ異なります。
またここで気になる存在が、要介護認定で「要支援」と判断されたクライアントです。
要支援のクライアントは介護保険の対象外ではありませんが、デイサービスを利用する条件に定められた「要介護」にも該当しません。
そこで今回は、デイサービスから見た要支援クライアントの捉え方を中心にご紹介していきます。
すでにデイサービスで勤務中の方も、これからデイサービスへの転職をお考えの方も、改めてご確認ください。
デイサービスは、なんのためにある?
デイサービスは、住み慣れた地域や自宅での暮らしを続けるクライアントの日常生活をサポートするために、必要な介護サービスを提供するための施設です。
入浴のお手伝いや、栄養バランスのよい食事とオヤツの提供といった具体的なサービスから、なかなか出歩くことが難しくなり、自宅で孤立感を深めてしまいがちなクライアントの日中の居場所を提供するという面でも社会的意義の大きいサービスです。
またクライアントに同居する家族がいる場合は、日中の息抜きや就労支援といった観点からも重要な役割を担っています。
デイサービスは、どんな人が必要としている?
デイサービスは、年齢を重ねたり認知症を発症することによって、身の回りのことを自分一人で自立状態で行うことが難しくなってきたクライアントが必要としているサービスといえます。
例えば「入浴のための準備、更衣、浴室内での立ち上がりが難しい」「自宅までの道順が分からなくなることもあり、基本的には外出をせず誰ともコミュニケーションを取っていない」「認知機能の衰えにより、食事や水分補給を忘れてしまう」といった、クライアントそれぞれの困りごとを解消するお手伝いをしています。
日常生活の困りごと(歩行や立ち上がり、座位の保持など)に対して自力での対応が難しい状態、また認知症の進行により物忘れを起こしてしまう状態は、介護度認定において「要介護」の認定がつきます。
そのためデイサービスは、要介護のクライアントを対象にサービスを提供しています。
要支援の段階
一方で基本的にはデイサービスの利用が認められない「要支援」は、例えば「入浴の際に浴槽をまたぐことだけ難しいが、その他の日常生活は送ることができている」「杖を使えば、自力で歩行ができている」といった、少しの手助けで自立した生活を送ることができている段階です。
そのため「今後介護が必要にならないように」との観点から、各種の「介護予防サービス」を、介護保険制度を利用して受けることが可能となっています。
要支援者が利用する「介護予防サービス」
介護予防サービスは、「将来的には介護が必要になると予想されるが、手助けがあればほとんどの日常生活動作を、自立して行える状態」である要支援クライアントに向けたサービスです。
2006年の法改正によって新設された制度で、日本の超高齢化社会に伴う介護の逼迫を防ぐための要介護人口増加の観点に基づいたサービスとなっています。
介護予防サービスは、要支援認定をもつクライアントもしくは基本チェックリストに当てはまるクライアントが利用できる「介護予防・生活支援事業」と、65歳以上ならば誰でも利用することが可能な「一般介護予防事業」に分かれています。
介護予防サービスとしてのデイサービス利用
実は介護予防サービスのうち、要支援認定のクライアントが利用できる「介護予防・生活支援事業」の一つに、「通所型サービス」が含まれています。
そのため要支援のクライアントは「将来的な介護度の進行を予防する」という観点からデイサービスの利用が認められるケースがあるのです。
これは要介護のクライアントがデイサービスを利用する目的である「心身の維持や他者との交流」とは、サービスを受ける目的が大きく異なることになります。
要支援クライアントがデイサービスを利用する上での注意点
要支援と認定されたクライアントであっても、自治体の認定があれば介護予防・生活支援事業としてデイサービスを利用することは可能です。ただし、デイサービスの本来の利用対象者である要介護クライアントによるサービス利用とは若干違いがあります。
要支援クライアントによるデイサービス利用の注意点①利用上限
要支援の認定を受けたクライアントがデイサービスに通う際は、利用の回数に上限があります。
具体的には要支援1のクライアントは週に1回まで、要支援2のクライアントは週に2回までしか、デイサービスを利用することができません。
定められた利用上限以上にデイサービスを利用する場合は、全額自己負担になります。
要支援クライアントによるデイサービス利用の注意点②利用可能な施設の制限
介護度認定が要支援に該当するクライアントは、デイサービスであればどの施設であっても利用できる訳ではありません。
利用できるデイサービスは、自治体によって「介護予防認定」を受けた施設に限られます。
そのため居住地域に介護予防認定を受けたデイサービス施設がない場合は、他の介護予防サービスを利用するしかありません。
要支援クライアントによるデイサービス利用の注意点③利用できないサービスの存在
デイサービスに通うことができた要支援認定のクライアントでも、要介護認定のクライアントと全く同じサービスを受けることはできません。
要支援と認定されたクライアントは、あくまで介護予防のためにデイサービスに通っている状態です。
そのためデイサービスへの通所自体は認められていても、入浴介助に代表されるような身体介助の一部は利用できませんので注意が必要です。
要支援のクライアントがデイサービスを利用する際は、要介護のクライアントとの違いをチェック!
デイサービスで要支援のクライアントを受け入れる際に着目したいポイントを中心に、介護予防サービスとしてのデイサービスをご紹介いたしました。
要支援認定のクライアントがデイサービスを利用する目的は、要介護認定の場合と違ってきますので、改めてその内容について理解しておきましょう、
全国各地にデイサービスの施設を拡大中のデイホーム土屋では、支援を必要としている地域の方を一人でも多く受け入れることができるよう、順次サービスを拡大しております。
このコラムを読んで、改めて「デイサービスの転職先を探している」「未経験だけど、デイサービスに転職したい」と感じた方は、どうぞデイホーム土屋までお問い合わせください。