介護業界は「給与が低い」「休みがとれない」などといった、マイナスなイメージを持ってる方が多くいます。
世間一般で「ブラック」といわれる介護施設も実は存在します。
少子高齢化が進み、高齢者の人数が増え介護する若者の人数が足りないといわれる昨今、赤字経営を余儀なくされる介護施設は多くあるのです。
この記事では、これからデイサービスで働きたいと考えている方に、ブラック施設を見極めるポイントを徹底解説していきます。
就職、転職活動で失敗しないために、ぜひこの記事の内容を参考にしてください。
ブラックといわれるデイサービスの特徴
まずブラックといわれる介護施設の特徴を4つまとめました。
- 長時間労働をさせられる
- サービス残業が多い
- 有給休暇が取得できない
- ハラスメントが横行している
上記のような労働環境の施設は、ブラック企業といえます。
長時間労働やサービス残業をさせられる
デイサービスに限らず、規定の時間を超えて働かされる職場をブラック企業といいます。
大企業は2019年から、中小企業は2020年より「時間外労働の上限規制」が定められているのをご存じですか?
過重労働の末に命を落とすような事案が問題視され、「36協定」が施行されました。
36協定とは労働基準法の法改正による「労働基準法第36条に基づく労使協定」の略称です。
この規定に違反した企業は、罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科せられます。
新たに施行された時間外労働の条件は以下の通りです。
時間外労働の上限規制 | |
月45時間まで | 年間360時間まで |
労働者と事業者の中での合意があったうえで臨時的な特別な事情があった場合でも以下を超えられないとされています。
特別な事情による残業の上限 | ||
年間720時間以内 | 月100時間未満 | 2~6ヵ月平均80時間以内 |
年次有給休暇が取得できない
本来従業員の権利である、年次有給休暇を取得、消費できないデイサービスは、ブラックであるといえます。
年次有給休暇の取得も、多くの企業で問題視されている、働き方改革のポイントです。
この問題を解決するため、前述した36協定で「すべての労働者に対して毎年5日確実に取得させる」ように法改正されました。
年次有給休暇は、正規雇用である正社員のみならず、非正規雇用のアルバイトやパートの方にも与えられる権利です。
- 働き始めてから半年が経過したとき
- 全労働日の8割以上を出勤している
上記2つを満たしていれば10日間の年次有給休暇を取得できます。
しかし「必ず取得するべき5日を、使用者(会社側)が時期を指定できる」といった落とし穴があるのです。
これにより本来の連休(年末年始休みなど)を少し削り、そこに有給休暇を当てるような企業もあります。
会社側から指定された休みであるはずなのに、有給休暇を消費されているといった話を耳にしたことがあるでしょう。
法律の決定事項に対して悪知恵を働かせるような職場はブラックなので、注意が必要です。
ハラスメントが横行している
ハラスメントとは、精神的・身体的な攻撃で相手を傷つけることをいいます。ハラスメントは「いじめ」と同じ意味をもつ言葉です。
職場におけるハラスメントは主に3つあります。
セクシュアルハラスメント | セクハラ | 性に関する内容で相手を不快な気持ちにさせること。相手の意思に反して体を触ることや、性的な内容の会話も含まれる。 |
---|---|---|
パワーハラスメント | パワハラ | 立場や権利を理由に部下などを身体的、精神的に攻撃をすること。人格否定や過度な叱責、集団での無視など。 |
マタニティハラスメント | マタハラ | 妊娠、出産、育児に関する内容で女性の労働環境を害すること。介護の場合はケアハラという。 |
近年はハラスメントだと定義する内容が細かくなりました。昔は当たり前だった「体罰」や「ハラスメント」がいじめの原因になると考え、法律で禁止されるようになったのです。
しかし年配の方は無意識でハラスメントとみなされる言動をとる方が多くいます。
「昔はこのくらい…」などと言いながら、相手の自尊心を傷つける人は未だにいるものです。
上記のようなハラスメントが横行しているデイサービスの職場はブラックといえます。
デイサービスは高齢者が多く利用するため、利用者さん(クライアント)からの「ハラスメント」も懸念されるでしょう。こういった対応は管理者など、トップの考え方によって異なります。
職員がハラスメントを行わないよう徹底している職場でないと、他のトラブルにつながる恐れもあるため注意が必要です。
デイサービスを含む介護業界の労働環境
デイサービスを含む介護業界の実態はどうなっているのでしょうか。
- 年次有給休暇の取得日数
- ハラスメントを受けた職員割合と内容
上記2つを解説していきます。
年次有給休暇の取得日数
令和4年度 介護労働の現状について」の調査結果から、介護職員の年次有給休暇の取得日数は7.8日であることがわかりました。(参照:公益社団法人)
介護業界全体の取得日数は以下の通りです。
0日 | 1~4日 | 5~9日 | 10~12日 | 13~15日 | 16~19日 | 20日 | 21日以上 | 無回答 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
6.2% | 15.5% | 39.9% | 19.5% | 6.0% | 3.6% | 4.3% | 1.0% | 4.1% |
年次有給休暇を5~9日取得できている介護職員が多くいることがわかります。
年次有給休暇を取得できていない職員が7.4%いる状況をみると、有給休暇を取りづらい、または取れない施設があるのです。
ハラスメントを受けた職員の割合と内容
介護に携わる職種のうち、デイサービスを含む入所型施設で働く、5,655人の回答結果をご紹介します。(参照:公益社団法人)
受けたことがある | 見たことや相談を受けたことがある | |
---|---|---|
精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・屈辱・ひどい暴言) | 7.9% | 10.5% |
人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視) | 5.0% | 8.2% |
個の侵害(私的なことに立ち入る) | 4.1% | 4.2% |
過大な要求(明らかに業務に不要な事の強制・仕事の妨害) | 3.5% | 3.6% |
身体的な攻撃(暴行・障害) | 1.2% | 2.2% |
過小な要求(能力や経験とかけ離れた程度の仕事のみ命じる・仕事を与えない) | 1.5% | 2.2% |
上記のとおり、実際にハラスメントの被害にあっている職員がいるのです。あってはならない、身体的な攻撃も少なからずあることがわかりました。
このハラスメントは介護業界のみならず、社会全体で問題視されている課題といわれています。誰かに相談することも重要ですが、ハラスメントの行われていない職場で働くことは、自分を守る一番の方法です。
そこで気になるのが、「ブラックではない企業」を選ぶ方法ではないでしょうか。
ここからは、デイサービスで働きたいと考えたとき、どのような施設選びが重要なのか解説していきます。
面接時に注意するべきポイントをご紹介
デイサービスの施設を選ぶとき、「家から近いから」といった理由で選ぶ方は多いものです。
ブラックではない施設を見つけるためには、どのような施設で管理者はどういった人柄なのか、施設の雰囲気などを見極める必要があります。
ポイントは以下2つです。
- 施設長がどのような人か
- 離職率が異常に高くないか
それでは以下で解説していきます。
デイサービスの施設長(管理者)がどのような人か
施設の労働体制や雰囲気を大きく左右するのが、施設長の存在です。施設を運営する責任者でありトップである施設長の考え次第では、長時間労働や有給休暇が取得できないなどといった問題が発生する可能性があります。
小規模のデイサービスの場合、面接は施設長が行ってくれる場合があるので、面接時に人柄をよくチェックすることは重要です。
できれば施設長だけでなく、他職員の雰囲気なども見るとよいでしょう。笑顔で挨拶をしてくれたり、いきいきと楽しそうに介護をしている職員の多い職場は、働きやすい職場だといえます。
離職率が異常に多くないか
離職率が高く、職員の入れ替わりが激しい施設は要注意です。常に求人が出ている場合は何かしらの問題が、隠されている可能性があります。
「入社時の条件と実際の条件が全く違う」「ハラスメントを行うベテラン職員がいる」など、実際に入社しないと気づかない闇があるかもしれません。
気になる点は面接時に確認しましょう
デイサービスを含む介護業界は、人手不足に悩まされています。それは少子高齢化社会が原因で、介護を必要とする高齢者に対して介護をする若者が足りていないからです。
この先さらにこの状況は悪化すると考えられていて、国全体で介護員不足を問題視しています。
本来はブラックではない施設でも、人手不足に悩まされている可能性があるのです。忙しい時間を割いて行う面接は、必要事項を伝え忘れてしまうことや、施設側の都合で面接日を指定するといった場合もあるかもしれません。
インターネット検索をすると「ブラックな施設の見極め方」がいくつか出てきます。しかしすべての事項を鵜吞みにすると就職先を見つけることが難しくなる可能性もあるのです。
自分の目でしっかり確認をし「ブラック企業かもしれない」と感じたら、自ら断る勇気も必要でしょう。
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