デイサービスは、介護保険制度に基いて提供されている通所介護の一種です。
要介護1以上に認定されたクライアントが利用することのできるサービスで、定期的に自宅から施設に外出して他者との交流を図ることによって、孤立感を防いだり、心身機能の維持を図ったりする目的で運営されています。
特に身体機能維持の面からデイサービスのプログラムに組み込まれているのが、機能訓練です。
この記事ではデイサービスで行われる機能訓練の内容や、実際に機能訓練を担当する機能訓練指導員という働き方について詳しくご紹介していきます。
デイサービスの機能訓練
デイサービスで行われている機能訓練は、医師の指示に基いて行われるものではありません。
医師の指示に基いて理学療法士や作業療法士などが行う、医療行為の一種であるリハビリとは異なるものになりますので、混同しないように注意が必要です。
機能訓練の目的
デイサービスの機能訓練は、クライアントが今後も自宅で自立した生活を継続できるように、日常生活に必要な身体機能の改善と減退防止を目的としています。
医療行為としてのリハビリが症状の回復と身体機能維持を目的としていることに比較すると、トレーニング性よりもレクリエーション性を重視し、明るくポジティブな気持ちで取り組むことが大切です。
クライアント一人ひとりのペースで、気分転換を図るような意識で取り組むことによって、身体機能維持の意識づけを行っていきましょう。
デイサービスで行われる機能訓練の具体例
デイサービスの機能訓練は、身体の様々な部分にアプローチする内容になっています。
クライアントの健康状態や要介護度に合わせて、決して負荷をかけすぎない内容で行うことが大切です。
階段昇降訓練・乗降訓練
階段を上り下りするトレーニングや、小さな段差に躓くことのないように踏み台で足運びを確認するトレーニングは、デイサービスで行われる定番の機能訓練です。
要介護と認定されているクライアントであっても自立した自宅生活を送るためにはかかすことのできない訓練ですので、安全面に十分配慮しながら実施していきましょう。
歩行訓練
クライアントの健康を考える中で最も重要な分岐点である自足歩行を意識して、自分の足で歩き続けることを目的とした訓練が、歩行訓練です。
身体機能の低下が続いて自足歩行ができなくなると、外出等がままならなくなり、寝たきり状態から一気に老いが進行してしまう可能性もあります。
そのためデイサービスでは歩行訓練に力を入れており、クライアントの状態によっては杖や歩行器などに代表される歩行補助具の使い方を練習するケースもあります。
マシンを使ったトレーニング
身体機能の自由度が高いものの、自宅であまり身体を動かす機会がないというクライアントに対しては、専用のマシンを用いた機能訓練を行っている施設もあります。
アテンダントが安全管理と健康管理をしっかりと行った上で、自転車型のマシンを使った訓練や専用の器具を用いた足の筋力訓練を行うことができるので、運動不足の解消につながります。
体操・エクササイズ
一人ひとりのクライアントに合わせた機能訓練に加えて、集団でのラジオ体操や簡単なエクササイズもデイサービスの機能訓練として行われています。
クライアントの身体機能によっては座っての参加や、手もしくは足のみの参加になることもありますが、他のクライアントと笑顔で身体を動かすことによって、楽しく気分転換と機能訓練を行うことができます。
生活動作訓練
衣類の着脱や食事の練習なども、デイサービスで実施される機能訓練の一つです。
介護度の進行を和らげるためには「できることは自分で」が鉄則ですので、なるべく現在の身体機能が低下しないよう、生活に必要な動作を効率よく練習するデイサービスの生活動作訓練は、非常に需要の高いサービスの一つです。
口腔機能訓練
要介護と認定されたクライアントが最も気を付けたい病気の一つに、誤嚥性肺炎があります。
誤嚥性肺炎は、口周りの筋力が低下して咀嚼力がなくなることが原因で発症することの多い肺炎です。
そのためデイサービスでは食事前に簡単な口腔機能訓練を取り入れていることが多く、しっかりと口を動かすことを指導しています。
脳トレ
脳の認知機能は、年齢や認知症などによって徐々に低下していきます。
認知機能の低下を避けるために意識していきたいトレーニングが、脳トレです。
脳トレはクイズやパズル、簡単なゲームのような形で提供されることが一般的です。
デイサービスの機能訓練指導員
デイサービスで実施される機能訓練は、機能訓練指導員として認められたアテンダントの主導で行われます。
機能訓練指導員として勤務する上で必要な資格は、以下のいずれかです。
- 看護師もしくは准看護師
- 理学療法士(PT)
- 作業療法士(OT)
- 言語聴覚士(ST)
- あん摩マッサージ指圧師
- 柔道整復師
- 鍼灸師(鍼灸師以外の機能訓練指導員のもとで、半年以上の勤務を経験すること)
機能訓練指導員の仕事内容
機能訓練指導員の大きな仕事は、機能訓練計画書の内容を決めることです。
まずはクライアントや家族との面談を通して、身体機能の状態を確かめたり、希望を聞き取ります。
そして必要な訓練の内容を判断し、機能訓練計画書という形で作成していきます。
デイサービスの利用時間中は、安全面と健康面に十分配慮したうえで、機能訓練に立ち合い、サポートしていきます。
実際の訓練の様子を見て、機能訓練計画書の内容は適宜見直します。
機能訓練に特化したリハビリ特化型デイサービス
通常のデイサービスとは異なり、半日の時間設定で機能訓練のみを重点的に行うリハビリ特化型のデイサービスも、近年需要が高まってきています。
リハビリ特化型デイサービスの場合は送迎車の運行はあるものの、昼食やレクリエーションの時間は設定されておらず、しっかりと身体機能に向き合うことができます。
また一般的にはデイサービスが要介護1以上の認定でなければ利用することができないのに対して、リハビリ特化型デイサービスであれば要支援認定のクライアントであっても利用することができる点が人気のポイントです。
デイサービスの機能訓練は、自宅生活の継続に重要!
デイサービスで提供される機能訓練と、機能訓練を主導する機能訓練指導員についてご紹介いたしました。
デイサービスの機能訓練は医師の指示に基づく医療行為ではありませんが、介護度が進行して寝たきりや誤嚥性肺炎を発症してしまうリスクを減らすことにつながる身体機能の維持という側面から、とても重要な介護サービスです。
またデイサービスで機能訓練を担当するのは機能訓練指導員となっており、該当の資格を保持していると機能訓練指導員として勤務することができます。
デイサービスでの介護サービス提供や、機能訓練指導員としての働き方が気になる方は、日本各地でデイサービスとリハビリ特化型デイサービスを運営しているデイホーム土屋までお気軽にお問い合わせください。