デイサービスの経営が厳しい理由は?事業成功・継続のコツと問題解決の3ステップ

現在、高齢化が進む中、2025年問題や8050問題が社会問題として浮上しています。また、高齢者の増加に伴い、介護分野の需要は年々高まりを見せています。

しかし、高齢者が増え、介護の需要が増えているにも関わらず、デイサービスの経営は厳しいという声を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

今回はデイサービスの経営が厳しいといわれている理由や事業成功・継続のコツと注意点を紹介します。

目次

デイサービス経営が厳しい理由

デイサービス経営は厳しいといわれています。デイサービス経営が厳しいと言われる理由を以下の3つの側面から紹介します。

  • 人件費や収益などの金銭的な側面
  • 管理者やアテンダントなどの人的な側面
  • 施設同士の競争や稼働率などの施設的な側面

これら3つの側面は単独の課題ではなく、相互に影響しあい、デイサービスの経営が厳しくなる原因になります。

人件費や収益などの金銭的な側面

デイサービスの経営では、人件費に多くの費用がかかります。

アテンダントの離職があるたびに新しいアテンダントを募集しなければなりませんが、介護事業施設が多く存在することから、求人に力を入れなければ人材を確保することができません。結果として、給料・広告費用を増やす必要があり、人件費が高くなってしまいます。

またデイサービスの収益は、介護報酬が柱です。しかし、2015年の介護報酬の改定により、デイサービスの収益は少なくなっています。

収益が少なくなる一方で、費用が掛かるため、経営が厳しいといわれています。

(参照)
厚生労働省「平成27年度介護報酬改定について」
厚生労働省老健局「介護事業経営実態調査のデータ分析」

管理者やアテンダントなどの人的な側面

人的な側面では、管理者の力不足が深刻化していることが挙げられます。介護事業所の管理者は、マネジメント・マーケティング・行政書類管理などを行いますので、管理者の力量によって事業所の経営が左右されます。管理者はデイサービス経営をする上で大きな役割を担っているということです。

そのため管理者が力不足であると、マネジメント・マーケティング・行政書類管理の役割が成立せず、アテンダントへ影響してしまうと考えられます。例えば、職場環境が整備されていないことにより、アテンダントは自身の力が十分発揮できない可能性があります。

また、アテンダントの入れ替えが激しいことも経営を厳しくさせる人的な側面の1つです。介護職をする上では、ある程度の体力が必要となりますが、年齢を重ねるごとに体力の維持が難しくなり、離職を考える人もいます。さらに職場の人間関係や結婚・出産などのライフイベントにより離職をする人もいます。アテンダントの離職・採用の繰り返しが激しく、アテンダントの定着が悪い場合は、サービスの質の質が低下するとともに、人件費もかかるため、経営はますます厳しくなるでしょう。

施設同士の競争や稼働率などの施設的な側面

「介護」分野の需要は高く、令和2年から令和3年の間でもデイサービスの施設数は増加を続けています。すなわち、介護事業施設の競争が激しいということです。

年々、介護事業数が増えている中で競争に勝たなければ、クライアントの利用が見込めないと考えられます。

またデイサービスの稼働率が低いと、クライアントの利用も見込めず、施設も安定の収益を得ることは難しく、経営が厳しくなるでしょう。特に高齢者は、体調の変化があるため、デイサービスを休む可能性があり、クライアントが休んだことにより稼働率がさらに低くなる可能性もあります。

(参照)厚生労働省「令和3年介護サービス施設・事業所調査の概況」

デイサービス経営を成功させるコツ

前段ではデイサービスの経営が厳しいといわれる理由について解説しました。デイサービス経営の厳しさや難しさについて理解していただけたかと思います。

しかし、高齢化が進む現代社会では、介護施設・介護事業所が必要となり、デイサービスの需要が高まっていることも事実です。

これからデイサービス経営を始める・これからも継続して経営していくためには、デイサービス経営の厳しさや難しさに注意するだけではなく、成功させるコツを理解しましょう。

以下にデイサービス経営を成功させる3つのコツをまとめました。

加算を取りこぼさない

収益を上げるには、申請できる加算を取りこぼさないことが重要です。介護事業所の主な収益は介護報酬ですが、2015年に改訂されて収益は減りました。

加算はアテンダントの給料にも影響します。

施設の収益を安定させるためにも、条件を満たしている加算は、取りこぼさず申請をすることが経営を成功させるために必要です。

労働環境を整える

人間関係・ライフイベントなどによってアテンダントが離職してしまうと、新たな人材を採用・育成するためにコストがかかります。また、アテンダントの定着率の悪さはサービスの質を低下させる要因にもなり得ます。このように、アテンダントの離職率の高さは経営悪化に繋がることから、労働環境を整えることは経営を成功させるための必須要件です。

人間関係が良好であったり、育児休暇や産前産後休業を取りやすかったり、働きやすい環境が整っていると、アテンダントの定着が見込めます。

事業所に強みをつける

前述のとおり、デイサービスの事業所数は増加傾向にあり、競争が激しくなっています。

激しい競争の中、継続して経営していくために、クライアントのニーズに応えられるような事業所独自の強みやアテンダントの働く意欲を湧かせるような環境を作り、他の事業所との差をつけましょう。事業所独自の強みがあると、クライアントの継続的な利用やアテンダントの採用・定着に繋がります。

問題解決の3ステップ

デイサービスを経営するにあたっては、費用・定着率・稼働率など様々な問題が発生します。

管理者やアテンダントは、発生した問題を解決できるよう取り組まなければなりません。

では、経営上の問題が発生した際には、どのように解決をするのが良いでしょうか。

以下では、デイサービス経営で発生した問題解決の3ステップをご紹介します。

問題解決の3ステップは、デイサービス経営以外にも活用できますので、参考にしていただければ幸いです。

ステップ1 要因を深堀りする

ステップ1は、経営上の問題の要因を深掘りすることです。

どうして問題が起きているのかを考えると、1つの大きな問題ではなく、いくつかの小さな問題があることに気付くでしょう。可能であれば、小さな問題がなぜ起きているのかさらに深堀りしていきます。

大きな問題は解決しにくいですが、小さな問題なら解決しやすいものです。また、小さな問題は、短期間で少しずつ解決できますので、問題解決までの進捗が明確になります。

ステップ2 ゴールを明確化する

ステップ2では、問題のゴールを決めます。

深掘りすることで分かった小さな問題について、それぞれのゴールや最終的なゴールを明確にしましょう。中間のゴール、最終ゴールなど、段階を踏んで着地点を設定するとさらに効果的です。

ゴールが決まったら、アテンダント全体または役員に共有しましょう。全員が同じゴールに向かって問題解決に取り組むことが重要です。

ステップ3 プラン立案・修正

ステップ3では、決めたゴールに対して具体的なプランを考えましょう。

問題とゴールを設定することでプランを具体的に考えられるようになります。問題解決の優先順位やアテンダントそれぞれにどんな指示を出すのかも明確に決めておきましょう。まずは最終ゴールまでのプランを立案し、実行していく中で細かな修正をしていくと最終ゴールから外れにくくなります。

コツを抑えてデイサービス経営を成功させよう

今回は、デイサービスの経営の厳しいといわれる理由と経営を成功させるコツについてご紹介しました。

今後も高齢者の増加が見込まれるため、介護分野の需要は高まることが予想されます。介護事業所数も増加傾向にあり、介護業界は競争が激しくなるでしょう。

今回ご紹介したコツをふまえて、今後の経営に役立てていただければ幸いです。

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