介護保険制度で要介護と認定されたクライアントは、介護度によって定められた上限まで、保険を利用した介護サービスの利用が可能になります。
特に要介護度1〜2という比較的自立度が高いクライアントの場合、介護施設などを利用することなく、自宅での生活を継続するために必要なサポートを受けるための介護サービス利用から介護生活をスタートさせる方が大半です。
そこで今回の記事では「初めて介護を利用する」「親の介護の手続きがよく分からない」と悩む方にも分かりやすく、介護保険制度の利用方法、そしてデイサービスに通うにはどのような準備が必要であるかを解説していきます。
介護保険制度の仕組みやデイサービスの特徴についても触れてまいります。
介護保険制度を利用するには
介護保険制度は65歳以上の高齢者や認知症を発症している方を対象に、少ない自己負担で一定の介護サービスを利用することができるように作られた社会保障制度です。
日常生活のなかで自力で行うことが難しい動作や家事などが生じ、介護保険制度を利用したいというときには、まず居住する自治体に対して要介護認定申請を依頼します。
その後、自治体によって介護度が決定されます。
この介護度を基準に利用する介護保険サービスや事業所に申し込みを行うことで、介護サービスが利用できるようになります。
要介護認定申請
介護保険制度を利用する際には必ず、自治体の介護度認定調査を受ける必要があります。
介護度認定調査を依頼するために必要な書類は、以下の通りです。
- 介護保険被保険者証の原本
- 健康保険被保険者証(国保・社保・共済など)の原本または写し
- 主治医意見書を依頼する病院の名称・住所・医師名が記されたもの(診察券など)
このうち介護保険被保険者証は、65歳の誕生月の前月までに郵送で自宅に送られてきます。
「介護なんてまだまだ先のこと」と思いこんで片付けてしまい、必要なときには介護保険被保険者証が見つからないというクライアントの方は非常に多くいらっしゃいます。
第2号被保険者で新規申請の場合は発行自体が行われていないため持参は不要ですが、紛失することのないようにご注意ください。
介護度認定調査
介護度認定調査は、クライアントの心身状態や生活の状況を確認し、主治医からの意見も踏まえて、要介護度を決定するために行われる調査です。
クライアントの自宅を訪問し、質疑応答や家族との面談を担当するのは、自治体から派遣される認定調査員となっています。
要介護認定申請から介護度認定調査の結果が出るまでは、自治体にもよりますが、おおよそ1カ月から1カ月半程度の時間を要する傾向です。
火急に介護サービスの利用が必要な状態にある場合は、介護度認定調査の結果を待ってから利用する介護サービスの事業所を検討するのではなく、介護度認定調査と並行して利用申請に向けて事業所の見学や相談会に足を運んでおきましょう。
デイサービスに通うには、要介護の認定が必要!
介護度認定調査の結果は、非該当・要支援1〜2・要介護1〜5の区分で通知されます。
このうち介護保険制度を利用してデイサービスに通うことが認められるのは、要介護1〜5のクライアントです。
そのためデイサービスに通うには、まず要介護認定申請と介護度認定調査の手続きを行いましょう。
利用する介護サービスの選択
介護保険制度における要介護1以上の認定がおりたクライアントは、担当のケアマネージャーと相談しながら、利用する介護サービスを検討します。
ケアマネージャーが作成したケアプランに基づき、クライアントが日常生活を継続させるために必要な介護サービスを提供している各種事業所との契約を行います。
初めての介護サービス利用には、デイサービスがおすすめ
特に初めて介護保険制度を利用するクライアントから高いニーズが寄せられているのが、デイサービスです。
デイサービスは通所型介護と呼ばれ、自宅で暮すクライアントが平日の日中に8時間程度を過ごすことができる事業所を運営しています。
デイサービス内では栄養バランスの取れた昼食やおやつが提供されるほか、軽いストレッチや脳トレなどのレクリエーション、季節を感じるプログラムなどを楽しむ時間が設けられており、引きこもりがちなクライアントにとっての気分転換や、他者とのコミュニケーションを通してポジティブなエネルギーを得られる効果が期待できます。
さらにクライアントと同居する家族にとっても、デイサービスはリフレッシュ効果をもたらします。
クライアントが一定の時間にわたって自宅を離れることで、仕事に集中したり自分の自由時間を有効に活用することが可能です。
デイサービスに通うには、地域が重要
クライアントやその家族にとってメリットの大きいデイサービスの利用ですが、実際にデイサービスに通うには居住地域と事業所の所在地が重要になってきます。
これは、クライアントがデイサービスに通う手段に関係しています。
デイサービスは筋力をはじめとする身体機能が低下したクライアントであっても安心して通うことができるよう、また家族の負担を極力減らすことができるよう、事業所が準備する送迎車によって通うことになります。
そのため多くの事業所では、自宅と事業所の距離が片道おおむね30分以内であることが通所の条件となっています。
自宅と事業所の距離的な制約に加え、送迎ルートの有無などがデイサービスに通うには要確認事項となってきますので、事前に事業所にご相談ください。
デイサービスに通うには、手続きと事業所探しが必要!早めの行動で、安心の在宅介護を
初めて介護保険制度を利用して、デイサービスに通いたいと思った時に必要な手続きと流れについてご紹介いたしました。
デイサービスに通うには、自治体に対しての要介護認定申請を行って介護度認定調査を受けること、また自宅が送迎範囲となっているデイサービスの事業所を探すことが必要です。
諸々の手続きを行い、実際にデイサービスに通うにはおおよそ2カ月程度の時間が必要になってきますので、デイサービスの利用を考えている場合は早めの手続きをおすすめいたします。