初めての介護サービス利用。老人ホームとデイサービスの違いについて知りたい!

2020年時点の調査において、厚生労働省では介護保険制度によって要介護もしくは要支援に認定されたクライアントの人数は、約682万人と発表されています。

同じく2020年に発表された日本の人口は1億2614万6000人ですので、おおよそ20人に1人は介護が必要な状態と認定されている状態です。

しかしながら介護保険制度の仕組みやサービスは、自分や両親、親戚などがその対象者にならない限り、なかなか詳しく知るチャンスがなく、説明を聞いてもよく分からないという方が多いのではないでしょうか。

そこで今回は、介護保険サービスとしてよく名前の挙がる老人ホームとデイサービスの違いについて、分かりやすくご紹介していきます。

初めての介護サービス利用でお困りの方は、ぜひ参考になさってください。

【参照】
「介護保険事業状況報告(年報)」/令和2年度(厚生労働省)
令和2年国勢調査 人口等基本集計(厚生労働省)

目次

介護保険制度の仕組み

介護保険制度は、高齢や認知症などを理由に日常生活を一人で送るのが困難になってきた65歳以上の高齢者を、社会全体で支えていくための制度です。

主に昭和以前の日本では、年長の家族を家庭内で支え、サポートしていくことが慣習的になっていました。

しかしながら核家族化や長寿傾向、また若年層の共働き傾向が続く現代においては、家族だけで介護をまかないきることが難しく、地域や介護・医療・住まいなどが連携して、クライアントの日常生活を支えていく必要があるのです。

介護保険制度を利用すると、クライアントは自身の介護度や心身の状態・家族のライフスタイルから判断された必要量の介護サービスを、1割〜3割の自己負担で利用することが可能になります。

介護度とは

介護保険を利用するにあたっては、自治体に書類を提出し、介護度認定調査を受ける必要があります。

介護度認定調査では、ケアマネージャーがクライアントの自宅を実際に訪問し、生活の様子や心身の健康状態を確認します。

家族からも現況の聞き取りを行い、かかりつけ医の診断書を含む各種書類の内容と総合的に判断して、非該当・要支援1〜2・要介護1〜5の8段階で、介護度を認定していきます。

  • 非該当……介護サービスが必要な段階にない。
  • 要支援……可及的速やかに介護サービスを必要としている段階ではないが、今後の経過によっては介護サービスが必要になる兆候が認められる。介護予防サービスの利用対象。
  • 要介護……日常生活において困りごとが確認される。介護サービスの利用が必要な状態。

一般的な介護保険サービスを利用する際は、要介護の認定を受けたうえで、ケアマネージャーと相談して必要介護サービスを選定し、ケアプランを作成してもらう必要があります。

介護保険の適用となるのはケアプラン内に定められたサービス量のみとなり、その他に利用した介護保険サービスや、限度額を超えて利用した介護保険サービスに関しては全額自己負担となります。

老人ホームとデイサービスの違い

介護保険を用いて利用することのできる介護保険サービスのうち、よく耳にする老人ホームとデイサービスの違いはどのような点になるのでしょうか。

気になるポイントを確認していきましょう。

老人ホームとデイサービスの違い①クライアントの住む場所

老人ホームとデイサービスの違いでまず大きなポイントとなってくるのは、クライアントの住まいです。

老人ホームは、ホーム(=家)という名前の通り、クライアントが実際に入居して、住まいとして利用する施設です。

特別養護老人ホームや介護医療院などがその代表で、食事の提供や24時間体制の介護サービス、医療的な見守りといった安心が付帯する施設となっています。

一方のデイサービスは、デイ(=日中)という言葉からも分かるように、平日の日中のみを過ごす事業所を意味しており、クライアントは自宅に暮らしながら、事業所の車に送迎してもらうことで、サービスを利用します。

基本的には平日日中の8時間程度がサービスの提供時間となっており、昼食とおやつの提供、施設によってはレクリエーションや各種機能向上訓練などに取り組みながら、他のクライアントやアテンダントと一緒に楽しく気分転換を楽しみます。

老人ホームとデイサービスの違い②費用

老人ホームは入所型の介護保険サービスに該当しますので、基本的には月額制での支払いとなります。

実際に必要となる費用は各種老人ホームごと・クライアントごとに異なりますが、おおよそ8万円〜15万円の範囲内が一般的です。

ただしこの費用は公営の特別養護老人ホームや介護医療院を参考にしたもので、民間の各種老人ホームを利用する際には、入居一時金や数十万円単位の月額利用料が必要になる可能性もあります。

一方のデイサービスは、クライアントによって利用する回数が異なります。

デイサービス利用料の一般的な目安としては1回あたり1,000円〜2,000円程度となっていますので、実際に月に何回程利用する予定であるかを考えると、おおよその費用が検討できます。

老人ホームとデイサービスの違い③サービスの内容

老人ホームでは、施設内に暮らすクライアントの日常生活を、トータル的にサポートしていきます。

3食の提供はもちろんのこと、入浴の介助や排泄介助・服薬管理など、生活している上で必要となる介護サポートを利用することが可能です。

一方のデイサービスは、日中を楽しく過ごしたり気分転換を図るためのサービスが充実しています。

もちろん希望すれば施設内での入浴介助や機能向上訓練などの専門的な介護サービスを利用することも可能ですが、親睦を深めるレクリエーションや軽い体操の時間などが設けられています。

老人ホームとデイサービスの違いを理解して、必要な介護保険サービスを探そう

老人ホームとデイサービスの違いを中心に、介護保険制度についても詳しくご紹介してまいりました。

老人ホームとデイサービスは介護保険サービスの一種であるという共通点があるものの、サービスの内容や費用などには違いがあります。

老人ホームとデイサービスのどちらが適した介護保険サービスなのであるかは、クライアントによって様々です。

ケアマネージャーを中心とした関係各所に相談し、本当に必要な介護保険サービスを利用していきましょう。

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